アクションプラン21 ◆ CLAビジョン

造園コンサルタントビジョン
「新しい環境文化の創造」


第1章 ビジョン作成の意義

1.1 ビジョン作成の背景
1.2 ビジョン作成の趣旨と役割
1.3 ビジョンの構成
1.4 造園コンサルタントの課題
2.1 新たな視点
2.2 活動領域の拡大
3.1 業務の新たな展開
3.2 技術力の向上
3.3 経営基盤の安定と強化
3.4 パートナーシップの確立
3.5 広報活動の拡大
3.6 広報活動の拡大






造園コンサルタントビジョン「新しい環境文化の創造」

平成7年5月


第1章 ビジョン作成の意義


1.1ビジョン作成の背景

 社団法人日本造園コンサルタント協会(以下JLCAという)の前身は、1964年(昭和39年)の「造園設計事務所連合」(LANDSCAPE ARCHITECTS OFFICES IN JAPAN)の誕生にさかのぼります。その後、急速に発展した日本経済の成長に合わせ、業務を拡充し、組織化を進め、社会への貢献を果たしてきました。  また、1985年(昭和60年)4月には社団法人として認可され、毎年会員数も増加し、1995年(平成7年)に法人化10周年を迎えました。その間、わが国の経済社会環境は飛躍的に向上しましたが、本格的な高齢化社会の到来、さらなる情報化・国際化の進展に伴い、人間にとって“本当の豊かさとは何か”が今問われています。そこで、都市の安全性の確保を踏まえた新しい環境文化の創造が必要であるという社会的要請が高まりつつあります。  地球規模の環境問題は、今や人類の生存をおびやかすまでに至り、“人と自然との共生”についての回答が求められています。われわれにとって今こそ、その果たすべき社会的役割を主体的に考え、直ちに行動すべき時期であるといえます。  造園コンサルタントはランドスケープアーキテクチャーの思想と技術をもって、未来に向け、来たるべき社会の期待に十分答える必要があります。

1.2ビジョン作成の趣旨と役割

 ビジョン作成の趣旨は、新しい社会的要請や諸問題の解決に向けて、造園コンサルタントが互いに切磋琢磨することにより、PI(Professional Identity)を高め合い、活動分野を広げ、ともに繁栄することをめざすことにあります。そのために、共に進むべき方向を探り、体質を強化するための方策を追求し、それを内外に示そうとするものです。  ビジョンの役割は、造園コンサルタントが21世紀に向けて“新しい環境文化の創造”という理念を掲げながら、人と自然とをつなぐ総合プロデューサーとして活動をするための具体的行動を起こす指針となります。  そのために、社会的使命や信頼される技術力、活力ある経営を追求し、体質を強化するための基本的方向を示し、企業やJLCAの取り組み及びクライアントとの相互理解を深めるための方策を検討し、具体的な行動計画を策定します。

1.3ビジョンの構成

 ビジョンの構成は次のとおりです。
  1. 造園コンサルタントの課題の整理造園コンサルタント業務の現状を把握するとともに、抱えている問題点を課題として整理し、果たすべき社会的使命を認識します。

  2. 造園コンサルタントの今後の方向社会の動向に対応するための新たな視点を探り、多様な活動領域への拡大を展望します。

  3. 造園コンサルタント業務の展開造園コンサルタント業務の展開について企業やJLCAがいかに取り組むべきか、ならびにクライアントとの相互理解をいかにして深めるかについて検討し整理します。

  4. 具体的な行動計画の提案JLCAとして取り組む必要がある具体的な行動計画を策定し、今後積極的に推進します。

1.4造園コンサルタントの課題

(1)造園コンサルタント業務の現状

  1. 業務量及び業務の範囲

     平成5年度にJLCA正・準会員152社が年間に受注した業務量は、約430億円で、このうち公共機関からの受注は約70%の約300億円と見込まれます。
     また、造園コンサルタント業務の範囲は、身近な生活空間から、地域、国土さらには地球環境にいたる広い範囲にわたっています。そして、人と自然の共生を視点にして、“豊かな生活空間”の創造のため、主に公園緑地等公的オープンスペースを中心とした公共造園や地域及び都市域における総合的な緑化や環境保全のための企画、調査、計画、設計、管理運営計画及び工事監埋等の業務を実施しています。
     さらに、自然公園等の整備・保全については、植生調査、自然環境影響評価等を含め、その総合的な保全利用のため、現況調査、計画、設計、管埋運営計画等の業務を行っています。


  2. 業務の形態

     JLCAの会員数は平成7年3月現在、正会員116社、準会員44社、賛助会員73社、正・準会員の技術者数は約3,600人、1社当たりの平均職員数は約23人となっています。
     その業務形態に関し、社会資本等の整備への質的、量的需要が増大する中で、住民の行政参加への意識の高揚に伴い、住民と行政とを結ぶ役割に対する期待が高まっており、さらにCM(Construction Management)業務も増加傾向にあります。
     同時に、総合的複合的なプロジェクトの増加は、造園コンサルタントと土木・建築等関連分野との共同作業の機会の増大をもたらしていますが、このことは共同作業技術の革新を促進させる一方、各々の境界領域分野での職能の拡大について、専門分野間の競合がおきています。


  3. 経営の状況

    資本金の階層別分布は、平成5年度で1,000万円〜2,000万円の企業が48%程度を占めています。また、社員1人当たり業務完成高は約1,200万円、経常利益卒については2.8%となっています。

(2)造園コンサルタントの課題

 造園コンサルタントの課題は、次のように整理されます。


  1. 社会的側面

     社会的側面からは、造園コンサルタント業務の対象領域の拡大への対応を図られなければなりません。このため、職能を確立し領域を拡大しつつ、関連分野との協調を図りながら業務の新たな展開を図ることが求められます。また、現在の社会は造園コンサルタントに対し、発注者のパートナーとしての役割に加え、CMR(Construction Manager)としての資質も要請しています。
     これらの社会的要請に応えるためには、造園コンサルタントの社会的地位を向上させることが必要になります。そのためには、造園コンサルタントの資格制度の確立と技術の向上、経営基盤の強化に努め、社会へのPRをより一層強めていかなければなりません。
     なお、国際化への対応として、造園コンサルタントが蓄積してきた技術の海外への展開、海外技術の受け入れ体制の整備等が課題となっています。


  2. 技術的側面

     知的サービス産業としての造園コンサルタントにとって、技術力の向上が最も重要な課題であり、造園コンサルタント業務の特性は次のように整理できます。

    • 本質的には土地利用のあり方を究明し、大地を管理していく技術です。
    • 気候、風土、歴史等地域の独自性を生かす技術です。
    • 安全で快適な生活空間をつくるのに役立つ技術です。
    • 伝統的な技術とともに新しい時代を先取りする思想を背景とした技術です。
    • 多種多様な専門技術を調整する総合技術です。


     これらの特性を前提に、新しい時代に対応した総合的な技術力の向上が求められます。特に伝統技術の継承と発展、専門技術の高度化、人と自然の共生技術の高度化、総合的境界領域技術の獲得及び上記技術術をサポートする標準化・OA化等の管理技術の向上等が課題となっています。
     また、技術力の向上のためには、多様な分野で優れた人材の確保と養成が急務です。
     さらに、社会的に信頼される技術の確立のためには、成果品の品質が確保される必要があり、個々の技術の向上と合わせて成果品のチェックあるいはレヴューのシステム化が要請されています。
     一方、一定の技術的水準の成果に加え、クリエイティブな成果を提供することが造園コンサルタントとして社会的信頼を得るのに不可欠であります。このためには知的所有権の一層の保護が課題といえます。

  3. 経営的側面

     社会的技術的な課題を解決するためには、その前提として経営基盤の確立が不可欠であり、自己資本力の強化、営業力の強化及び生産性や利益率等の向上が必要です。  また、給与、勤務時間、休暇、福利厚生制度等の労働条件の改善、職場環境の改善及び社会的評価の獲得等の魅力ある環境の創出が、優秀な人材確保ひいては経営基盤の確立に必要となっています。
     経済的基盤の確立のためには、社会の造園コンサルタントに対する理解を深めることが必須であり、例えば、双務契約の励行を促し、適正な報酬を確保するためにクライアントとコンサルタントの機能分担の明確化を図り、契約条件を明確化すること等が課題となっています。
     企業競争を通して経営基盤が強化されるという観点にたてば、契約制度の改善を含め、公正で自由な競争市場の整備が造園コンサルタント全体としてのレベルアップのための課題となっています。




第2章 造園コンサルタントの今後の方向


2.1新たな視点

(1)社会の動向

 造園コンサルタントの機能は、社会環境と深く関係しています。社会環境はダイナミックな活動体であり、常に変化しており、造園コンサルタントはこのような社会の動向を正確に見据え、社会の課題に対し的確な回答をしていかなければなりません。
  1. 真の豊かさの追求

     わが国は急激な経済成長期を経て、世界の経済大国になりました。しかし、国民の生活は物質的な充足度に比べて、精神面では依然として豊かさを実感できずにいます。加えて、高度情報化社会の到来とともに、都市で生活する人々のストレスは高まるばかりです。そのような社会状況の中で、国民生活を真に豊かにするためには、うるおいのある生活環境の整備が急務です。

  2. 都市の安全性の確保

     高密度に成長した都市はその利便性の裏に、非常時の危険性を合わせ持っています。都市の安全性を確保するには、オープンスペースの適正配置が必要不可欠です。都市計画的見地からそれらを都市構造として生み出し、快適で安全な都市生活を保証した防災都市を構築することは造園コンサルタントの責務です。

  3. 福祉環境の整備

     高齢化に向う社会に対し、福祉の充実と共に人にやさしい都市環境づくりは重要な課題です。しかし、都市空間は経済性の追求により複雑化、重層化の度合を強めつつあります。そのような情況にあって、われわれ造園コンサルタントは都市の環境を改善し、すべての人にやさしい環境整備をめざす必要があります。

  4. 人と自然の共生

     これまで人は自然を切り開くことによって、生活圏を広げてきました。しかし今、それによって失われた自然環境の重要性に気づき、自然とともに暮らしてこそ安らぎのある豊かな生活があることに気づきはじめました。かつて、わが国は世界でも稀な人と自然の共生した豊かな生活環境を持ち、生産と保全とのバランスのとれた生活を送っていました。その知恵と技術を最もよく継承する造園コンサルタントは、地域の風土特性を見つめ直し、それを生かした新しい環境の創造に取り組まなければなりません。

  5. 総合技術の必要性

     生物を基盤とする自然のシステムは複雑で多様です。同様に自然の一員としての人間の生活も、基本的に多面性の上に成立っています。したがって、専門分野のみによる解決には限界があり、技術の複合化が進んでいます。生物としての自然や人間を対象とする造園コンサルタントにとって、これは直接的な課題となります。これまでの専門的縦割り技術から、関連分野との連携による複合的、総合的な技術が必要とされます。広い分野との技術交流によって、自然や人間の生活により深く迫ることが必要です。

  6. 地球環境を踏まえて

     科学技術のめざましい進歩によって、人類は宇宙的視野を持ち、地球がボーダレスな共同体であることを認識しました。ひとつの都市、ひとつの地域での環境問題は、直接、地球全体に影響を及ぼすことになります。最近では、社会のすべてがグローバルな視野を持って物事を考えるようになりつつあります。造園コンサルタントはこのような動向を踏まえ、わが国の伝統的な人と自然の共生の文化によって、地球規模での新しい環境文化の創造に取り組んでいかなければなりません。

(2)期待される造園コンサルタント像

 あらゆる側面において視野や価値観が変わりつつある社会環境の中で、最も重視される分野を担う造園コンサルタントは、社会の要請に応えるために次のような視点を持つ必要があります。

  • 従来の庭園、公園緑地及び都市のオープンスペースの枠を越えた生活空間全体の質的向上と安全性を確保し、豊かなランドスケープ形成を通して環境創造に取り組む。
  • 独自の技術をもってあらゆる関連分野と技術協力できる総合的視野を持つ。
  • 新たな共生的計画論を確立し、関連分野を総括する人と自然をつなぐ総合プロデューサーをめざす。
  • 地球規模の視野を持ち、世界的活動へと進む。  このような視点をもってグローバルなスケールで環境創造づくりに取り組む造園コンサルタントは、次のような人間像であることが要請されます。
  • 科学、技術、芸術等に広く関心を持つ文化人である。
  • 豊かな社会へ導くオピニオンリーダーである。
  • 世界の文化と地球上の生命を常に意識し行動する思想家である。  以上の視点と社会性を確立した造園コンサルタント像は次のように変わります。
  • 庭園、公園緑地及び都市のオープンスペースの創造において、常に科学、技術、芸術を踏まえた創作活動を行い、安全で豊かな生活環境の擁護者となる。
  • 共生の技術のエキスパートであり、共生の視点において関連分野相互間のコーディネーターであり、秩序ある地域整備のプロデューサーとなる。
  • 地球規模において人と自然が共生する環境創造技術の専門家となる。
     また、造園コンサルタントはJLCAを通して、その組織の拡充と社会的信頼をより確かなものにするために、次のような活動が要請されます。
  • 社会的な信頼を獲得するために、公正な立場で絶えず社会に向かって行動する。
  • 世界と協力して環境創造に取り組むために、国際的な人材の確保と優秀な技術者の養成に努める。
  • 豊かな生活を求める社会に継統的に貢献していくために、経営の安定と魅力ある職場づくりに努める。

2.2活動領域の拡大

(1)造園コンサルタントの職能

 造園コンサルタントの職能は、人と自然との関係を科学的(生態的)、芸術的(美学的)に理解して、相互の関係を総合的に調和ある姿に空間化し、持続的に管理していく技術です。
 それは、自然環境や歴史・文化を把握し、社会的、経済的諸条件すべてにわたってバランスよく配慮された姿をめざすことにあります。このことは、多様と統一、自然と人工、全体と個など相矛盾するものを、受容性の大きい豊かで深みのある多義的空間として大地に治めることです。また、生き物を対象とすることから、過去・現在・未来にわたって生成変化する時間のプロセスをも含む職能です。

(2)時代の新しい要請に対応する活動領域

 都市公園、自然公園、庭園等を中心とした領域に加え、時代の新しい要請に対応するために、別表のような業務が造園コンサルタントの参画する活動領域となっています。

(3)行政の新しい動向に対応する業務

 新しい行政需要に答えるために、各行政部門が各種の施策を行っています。例えば建設省について見ると、「環境政策大綱」、「緑の政策大綱」、「生活福祉空間づくり大綱」など、次々に策定され、その施策の展開に向けた取り組みがなされています。

(4)今後の拡大方向

 新しい環境文化を創造し形成していくためには、その対象空間は陸域、水域、気域へと広く深く拡大していかなければなりません。
 そのためには、広い視野と深い知識を持って優れた仕事をすることにより、社会の理解と支持を得て造園コンサルタントの評価を高めることが前提となります。




第3章 造園コンサルタント業務の展開


 造園コンサルタントの将来像を実現するための基本的方向と、クライアントとの相互理解を深めるための方策は次のとおりです。

3.1 業務の新たな展開 (1)新たな業務領域の開発
(2)専門技術と総合技術の展開
(3)関連分野との交流と境界領域への取り組み
(4)国際化への対応
(5)社会との接点の拡充
3.2 技術力の向上 (1)研究開発力の強化と新しい技術の開発
(2)人材の確保と養成
(3)作品性の重視と社会への主張
(4)伝統技術の継承と発展
(5)共生の技術の追求
3.3 経営基盤の安定と強化 (1)経営意識の向上
(2)業務量の確保
(3)魅力ある職場環境の創出
(4)知的生産性の向上
(5)適正な業務報酬の確保
(6)利潤の確保と蓄積
3.4 パートナーシップの確立 (1)企業倫理の確立
(2)業務の円滑な遂行
(3)成果品の品質の保持・向上
(4)知的所有権の正当な評価
(5)CM体制の整備
(6)契約制度の改善と対応
3.5 広報活動の拡大
3.6 協会組織の強化

3.1業務の新たな展開

(1)新たな業務領域の開発

 社会の進展に伴い、今までの技術の延長では対応が難しい幾多の課題の発生が予想されます。
 そのため、われわれ造園コンサルタントは、広範な技術交流を進め、これらの課題への挑戦と技術開発等の積極的な推進に努めます。

  1. 技術交流のためのシンポジウム、セミナー等の開催
  2. 新たな分野開発のための研究会の発足
  3. 都市防災への対応
  4. 福祉環境の整備
  5. 広報活動との連携

(2)専門技術と総合技術の展開

 地球環境問題をはじめ高度化、多様化する社会状況に対応するため、情報のストックとネットワーク化、JVの可能性など企業間の協同連携を進め、専門技術の確立と総合技術の展開を図ります。

  1. 情報ネットワークの確立
  2. JVの可能性の調査と展開
  3. 専門技術資料集と総合技術指針の作成
  4. 造園関連技術体系の整備

(3)関連分野との交流と境界領域への取り組み

 建築、土木、都市計画、芸術等各種関連分野において、積極的な交流を進め技術力の向上に努めます。
 今後想定される複雑化した境界領域的な業務に対し、セミナーやコンペティションを企画し、時代を先取りして社会的要請に応えます。

  1. 境界領域分野への積極的進出
  2. 境界領域に関するセミナー、シンポジウムの開催
  3. 境界領域のコンペティションの開催
  4. JVによるモデル事業等の受注

(4)国際化への対応

 国際間で通用する広い視野と専門技術をペースに、経済・文化等生活全般にわたって国際感覚をもった技術者を養成し、さらに、充実した経営基盤をもった国際的企業を育成します。また、人材交流・技術の相互協力等をはじめ、国際的な関係団体等との協調をめざします。実務面では地球規模的視野に立ち、海外業務への積極的参加も考えます。

  1. 海外研修生の受け入れと派遣
  2. 海外企業の国内参入への対応
  3. 協会員の海外業務の受注促進
  4. 海外情報センターの設立
  5. 国際的な関連団体等との協調

(5)社会との接点の拡充

 広く社会の理解、評価を得るために、資格制度の導入や、広報活動を通じて学校教育の場への浸透を図るなど、社会との接点を幅広く保ちます。

  1. 資格制度の充実
  2. 学校教育への協力体制
  3. 広報活動・セミナー・シンポジウム活動の充実

3.2技術力の向上

(1)研究開発力の強化と新しい技術の開発

 研究開発力を強化し新しい技術の開発を進めることは造園コンサルタントの使命です。そのため、専門学校、大学などの教育機関や各種研究機関等との協力体制を強めます。

  1. 新しい環境文化について研究する機関の設立
  2. 大学、研究所等の研究機関との協力体制の強化
  3. 技術開発に関する情報センター機能の整備
  4. 都市防災技術の研究

(2)人材の確保と養成

 人材は最も基本となるものであり、いかにして優れた人材を確保・養成するかが重要となります。  企業としても協会としても、希望と夢を託せる職能であることをもっとPRする必要があります。  われわれの優れた成果を示して、より一層社会的評価を高めることも大切です。そのため、次の事項について実施します。
  1. 社会へのPRの促進
  2. 学校教育への協力による人材の育成と確保
  3. 社員教育、技術開発による社員の質の向上、協会による技術研修
  4. 資格制度の充実
  5. 業務分野の拡大に伴う新たな人材の導入と活用
  6. 官庁、研究機関、学校、関連企業等との相互出向、派遣による人材交流

(3)作品性の重視と社会への主張

 コンペティションや表彰などにより、作品の論評、評価などを行い、作品性の向上を図るとともに、われわれの職能を社会にアピールします。
  1. 作品紹介等の各種セミナー、シンポジウムの開催
  2. 協会コンペティションの実施
  3. 協会賞の実施
  4. 著作権の確立

(4)伝統技術の継承と発展

 日本庭園の伝統技術は世界に誇る環境文化です。これまでの伝統技術の蓄積を基本にして、土木、建築、工芸等をはじめとするさまざまな伝統技術のジャンルと協同し、新たな技術の発展を追求します。
  1. 伝統的作品の見学会、技術講習会等の開催
  2. 伝統技術資料の収集と活用
  3. 伝統文化との交流

(5)共生の技術の追求

 新しい環境文化の創造には、共生の思想が重要な役割を果たします。そのため人と自然にかかわるさまざまな問題に、総合的技術により対応し、地球環境的観点から自然と共生する空間づくりをめざします。
  1. エコシステムの応用技術の開発と推進
  2. 技術交流、共同研究の推進
  3. 身近な生活環境や都市の自然環境の保全
  4. 省資源、省エネルギー技術の推進

3.3経営基盤の安定と強化

(1)経営意識の向上

 経営者が経営環境を十分に把握して、経営意識を高め、経営の改善と向上をめざすことが必要です。
  1. 社会的使命の認識とJLCA会員としての協調
  2. 経営指針の策定
  3. 経営者の経営意識、管理意識の向上
  4. 経営者間の交流と情報交換
  5. 経営者・社員間の相互理解

(2)業務量の確保

 適切な業務量を確保することは、企業経営の必要条件です。  個々の企業のみならずJLCAとしても、業務量を拡大し安定的に確保するための努力が必要です。  また、新たな領域への参入に向けて努力することが必要です。
  1. 受注の拡大と安定
  2. 新たな領域への参入
  3. 新規業務の創出
  4. 営業部門の充実

(3)魅力ある職場環境の創出

技術カに対して正当に評価される魅力ある職場環境の整備が必要となります。
  1. 働きやすい職場環境の整備
  2. 安定した給与水準の確保
  3. 適正な人事評価と褒賞
  4. 退職金制度、年金制度等の確立

(4)知的生産性の向上

 知的生産性の向上のために業務体制の改善、電算化導入等を積極的に推進します。あわせて、より高い質の成果品となるよう努力します。
  1. 業務体制の改善による生産性の向上
  2. 電算化の導入等による生産性の向上
  3. 付加価値の増大のための企業努力
  4. 自已啓発のための環境整備

(5)適正な業務報酬の確保

 技術の進歩に対応して技術水準を常に高めていくためには、適正な業務報酬が必要となります。
  1. 適正な積算の実施
  2. 委託契約の標準案の作成

(6)利潤の確保と蓄積

 経営基盤の安定と技術力の向上のために、一定の利潤の確保と蓄積に努めます。
  1. 技術力の向上と人材投資のための条件整備
  2. 職場環境の改善と設備投資のための利潤の確保
  3. 経営基盤確立のための自己資本力の強化
  4. 経営リスクに備えた資金の確保

3.4パートナーシップの確立

(1)企業倫理の確立

 法規を遵守し、公正な競争を行うために企業倫理の確立に一層の努力をします。
  1. 倫理観の向上
  2. 公正な競争による企業意識の向上
  3. 中立性、独立性の確保

(2)業務の円滑な遂行

 クライアントとの相互理解を図り、業務を円滑に遂行するために実務者懇談会等を開催します。
  1. 業務内容の明確化
  2. クライアントとの実務者懇談会、意見交換会等の開催

(3)成果品の品質の保持・向上

 成果品の品質を保持し向上するために、チェック・レビューシステム体制を確立して、一層の努力を行います。
  1. チェック・レビューシステム体制のための条件整備
  2. 成果品のチェック・レビューシステムの確立

(4)知的所有権の正当な評価

 固有の成果品について著作権等の知的所有権を主張し、この権利の行使を求めます。
  1. 著作権等の知的所有権の正当な評価と行使のための環境整備

(5)CM体制の整備

 CMに対応できるように、造園コンサルタントに必要な技術カを高めるとともに体制を整えることが必要です。
  1. 設計・施工管理業務の一貫受注
  2. 問題処理能力の向上
  3. 造園コンサルタントとして中立性・独立性の明確化

(6)契約制度の改善と対応

 入札・契約制度の改革に際しては、造園技術職の認知、プロポーザル方式の運用を求めます。
  1. 造園技術職にかかわる資格の正当な評価
  2. 指名参加願いにおける様式の統一
  3. プロポーザル方式など新しい発注制度への適切な対応

3.5広報活動の拡大

 作品集、論文集の刊行や作品論評などを行い、若い設計者も活躍できるようにします。また、マスコミなどを通じた活発な広報活動により社会的な認識を高めます。

3.6協会組織の強化

 協会組織を強化し、会員の技術水準の向上、経営の安定を図ります。




第4章 ビジョン実現のための行動計画


(1)行動計画

 前章までの検討結果をうけて本ビジョン推進のために、JLCAが取り組むべき具体的行動計画は 別表のようになります。

(2)推進体制

  1. JLCA及びその構成員である会員がビジョン達成にかける熱意と行動は、本ビジョン推進のために欠くことができない原動力です。
  2. JLCAは行動計画の目標達成の時期や課題等、より具体的に内容を検討・整理し、実行に移すための効果的な推進体制を整備する必要があります。
  3. そのためには新たな委員会の設置等、現行の組織体制を再編強化し、行動計画の具体化へ向けて邁進していく必要があります。

(3)フォローアップ

  1. ビジョン推進に当たっては、行動計画を具体的かつ詳細に検討し、着実に実現化を図っていくことが肝要であり、適宜その進捗状況をチェックしていく必要があります。
  2. 造園コンサルタントを取り巻く内外環境の変化に柔軟に対処するために、本ビジョンの内容について必要に応じて見直しを加えつつ、行動計画を推進していく必要があります。





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